臨書BOX貫名菘翁・左繡序 2016 [DVD-BOX] -その3-

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    臨書BOX貫名菘翁・左繡序 2016 [DVD-BOX] -その3-





    臨書の撮影日時の設定も技である。
     
    一ヶ月ほど前からその時、然るべき“瞬間”を狙っていく。
     
    臨書という行為に、気合が入ってないのもNG、入りすぎてもNG
    また、鍛錬が足りないのもNG、鍛錬しすぎて飽きてしまってもNG
     
    心身ともに自らのトップフォームで筆を執る瞬間を導き出す。
     
    墨選び、硯選び、紙選び、そして筆選び、気温や湿度の予想、日の入り時間、、、などなどチェックボックスは無数にあるので、一つ一つを確認し整理しながら毎日少しずつ撮影日時にピントを合わせていく。
     
    撮影日まで一週間ともなると、いよいよ臨戦態勢であるのだが、余程の馬鹿か天才でない限り“絶対OK”という気持ちにはなれない。

    気持ちは刻々と移ろい、魂は不安と自信の間を行ったり来たり繰り返す。
     
    「これで最後!」と思いながら全臨(法帖の冒頭から最後まで一貫して臨書すること)し終わるとまた「もういっちょ」と全臨を繰り返し、気づくと撮影日の朝を迎えていた。
     
    その日の午後、まさに撮影に入ろうとしていたその時だった。

    一枚の
    FAXが入った。

    見なきゃいいのに、キレキレの神経がそれをどうしても忘れさせてくれない。

     
    見てしまったら全てお終い。

    意気消沈。

     
    土壇場になって撮影はオールキャンセルとなった。
     
    全ての要因は、自分の心の持ちようである。
     
    いくら外的な問題がおころうと自分のメンタルをコントロールし切ることができなかったのはプロフェショナルとしては失格である。
     
    その日、撮影を流した。
     
    こんな体験は初めてだ。
     
    書は誤魔化しがきかない。
     
    心のありようがもろに作品や線、そして微妙な所作に反映される。
     
    作品ならば少しは誤魔化しようもあろう。
     
    臨書、しかも臨書の撮影となると、少なくとも私には200%無理である。
     
    久しぶりに泣いた。







     

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      • 2017.04.26 Wednesday
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      柿沼康二ブログ:書家・書道家・現代美術家

      Koji Kakinuma (c)Douglas Benedict
      (c)Douglas Benedict


      柿沼康二(カキヌマコウジ)。書家・書道家・現代美術家。 1970年栃木県矢板市生まれ。5歳より筆を持ち、柿沼翠流(父)、手島右卿(昭和の三筆)、上松一條に師事。東京学芸大学教育学部芸術科(書道)卒業。2006-2007年、米国プリンストン大学客員書家を務める。 「書はアートたるか、己はアーティストたるか」の命題に挑戦し続け、伝統的な書の技術と前衛的な精神による独自のスタイルは、「書を現代アートまで昇華させた」と国内外で高い評価を得る。2013年、現代美術館において存命書家史上初となる個展を金沢21世紀美術館にて開催。発表作品「不死鳥」(1100×750cm)、「一 (BOSE ver.)」(270×515cm)が同美術館のパーマネントコレクション(収蔵)となる。2013年春の東久邇宮文化褒賞、第1回矢板市市民栄誉賞、第4回手島右卿賞。独立書展特選、独立書人団50周年記念賞(大作賞)、毎日書道展毎日賞(2回)等受賞歴多数。NHK大河ドラマ「風林火山」(2007)、北野武監督映画「アキレスと亀」、角川映画「最後の忠臣蔵」等の題字の他、「九州大学」「九州大学病院」名盤用作品等を揮毫。 NHK「トップランナー」「趣味Do楽 柿沼康二 オレ流 書の冒険」「ようこそ先輩課外授業」「スタジオパークからこんにちは(2回)、MBS「情熱大陸」、日テレ「心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU」、BOSE社TV-CM等に出演。 伝統書から特大筆によるダイナミックな超大作、トランスワークと称される新表現まで、そのパフォーマンス性は幅広く、これまでNYメトロポリタン美術館、ワシントンDCケネディセンター、フィラデルフィア美術館、ロンドン・カウンティーホール、KODO(鼓童)アースセレブレーションなど世界各地で披露され好評を博す。現在、柿沼事務所代表取締役社長兼所属書家。

      =WEB SITES=

      書家/アーティスト 柿沼康二 公式Webサイト
      書家/アーティスト 柿沼康二 エッセイ集「字書きの泡。」
      柿沼事務所オンラインショップ
      株式会社柿沼事務所

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      作品集

      金沢21世紀美術館「柿沼康二 書の道“ぱーっ”」カタログ
      KOJI KAKINUMA "Exploring Calligraphy"


      →→書籍詳細


      TARO100祭記念出版
      「岡本太郎vs柿沼康二 TRANCE-MISSION」

      本書は、太郎vs柿沼の本であると同時に、 いわば前代未聞のタイポグラフィvs肉筆文字の本である。


      →→書籍詳細


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      「この人の作品、狂ってるわ」
      〜北野武

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